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フランス- 小さな町のブロカント(Brocante)

フランス- 小さな町のブロカント(Brocante)

ブロカント(蚤の市)とはフランスの古いものを長く受け継ぐ文化

日曜日でも開いている数少ないブロカントのお店

フランスで日曜日といえば休息の日。それはお店にとっても同じです。日曜日になると軒並みお店がシャッターを下ろし昼間は活気のある街もしんと静かになります。

でも、その中でいくつか日曜日も開いているお店があります。例えばそれは、パン屋さん、レストランやカフェなど食べ物を提供するお店。それからお花屋さん。誰かの家に招待されたとき、手土産にお花を選ぶことが多いためです。そして、ブロカントもまた、日曜日に開いている数少ないお店の一つです。

 古いものを愛するすべての人に

ブロカントは一言で言えば「中古品を売るお店」。また、中古品そのものを指す言葉でもあります。ブロカントで売られているものは食器やカトラリーから家具、服、インテリア雑貨などさまざまで、とにかく中古でさえあれば何でも売っているのがブロカント。では、どうしてそんなブロカントが日曜日に開いているのでしょう。

それはきっと、あらゆる物を手頃な値段で手に入れる機会をすべての人に均等に与えるため。そして何より、古いものに愛着を感じ大切に取っておくフランスの人々にとって、ブロカントを訪れるのは純粋な楽しみの一つなのです。
 そんなわけで、どんなに小さな町でもブロカントを見つけることができるのです。

ブロカントとアンティーク

ブロカントと似た言葉に「アンティーク」がありますが、こちらは年代物、骨董品という意味合いがあります。ですから、ブロカント=アンティークとはなりません。「ブロカント」という言葉には「がらくた」というニュアンスもあり、アンティークと比べるとかなり気軽な、親しみやすい雰囲気があります。

ブロカントとアンティークは別の意味の言葉ですが、お店としてはっきり分かれているわけではありません。特に、ブロカントと呼ばれるお店の中でアンティークを扱うお店はたくさんあります。

小さな町の、大きなブロカント

さて、ブロカントと一口に言っても、お店によってそれぞれ店構えはさまざまです。例えば私が住む町のようなごく小さな町や村では、中心部を離れ、広い敷地を活かして大きな家具をたくさん展示しているブロカントをよく見かけます。今回は、そんな小さな町の大きなブロカントを2軒訪ねてきました。

ゆっくりと時間が流れるノスタルジックな空間

まずは敷地内で家具の修理もしている、大型家具を多数取り揃えたブロカント。広々とした店内には、アンティークを含む食器棚やダイニングテーブルセットをはじめ、ライティングデスクやベッドサイドテーブルなどあらゆる種類の家具が並んでいます。それらの家具は食器や小物、古道具などで飾られていて、お店全体がノスタルジックな雰囲気に包まれています。

飾られているもので特に点数が多いのはグラスやカラフェ、お皿など食卓に上るものです。それぞれが美しい意匠を施され、日常の食卓を心豊かに楽しむフランスの人々の感性が垣間見られます。こうした食器を眺めていると、これらを使いながら楽しそうに食卓を囲む大人や子どもの姿が思い浮かんできます。

また、店内では現代の家庭では使われない秤やブリキの牛乳瓶など、一時代前の珍しい古道具にも出会います。普段目にできないような道具は見ているだけでも楽しく、子どもと訪れれば古い時代を知る良い機会にもなりそうです。

かつての暮らしぶりに思いを馳せながら、静かに時間が流れていく。そんなブロカントです。

古いものも 新しいものも。デコを愛するマダムのお店

デコ(déco)はデコラシオン(décoration)の略で、「装飾、飾ること」を意味しますが、特にインテリアデコレーションの意味で使われることが多い言葉です。二軒目はこのデコが何よりも好きなマダムのお店。こちらではブロカントの品が多数を占めながらも、店主のお眼鏡にかなった新品の商品も扱っています。

お店の扉を開くと、まずは新品のカントリー雑貨がかわいい小部屋が迎えてくれます。そして、その先は壁で区切られた大小の部屋が続き、だんだんと古いもので部屋が埋め尽くされて行きます。まるでお店の奥へと進んでいくごとに時間が戻っていくような、不思議な魅力のあるお店です。

こちらも前述のお店のように食器棚やダイニングテーブルなど大型の家具を取り揃えていますが、さらにフレンチシックな衣料品やテーブルリネンも豊富です。刺繍の入ったナプキンやレース編みのテーブルクロスなど、いかにも昔ながらのフランスらしい品も見つけることができます。

また、こちらのお店ではたくさん並んだ水差しが印象的でした。一口に水差しと言っても形やデザインはさまざまで、それぞれ違った表情を持っています。お気に入りのデザインの水差しを一つ食卓に乗せただけで、いつもの食卓に彩りを添えてくれそうです。

屋外でも、ブロカント

 さて、ブロカントは店舗のみならず、屋外でも出会うことができます。それはいわゆる蚤の市で、フランスでは毎週週末を中心に町の大小問わず国内のいたる所でブロカントが開催されています。


それから、地元のお祭り(foires à tout)も、ブロカントに出会える確率が高い場所です。このお祭りにはブロカント以外にも食品から衣料品、おもちゃや化粧品などあらゆる種類の屋台がたくさん立ちます。わたあめやクレープなどのお菓子の屋台や、遊園地にあるような乗り物が設置されていることもあって、家族連れの地元の人たちでにぎわうイベントなのです。

先日訪れた近くの町のお祭りでは、たくさんのブロカントが敷地の一角を占めていました。これらのブロカントの中にはプロのブロカントとしてお店を出す人もいれば、個人的に自分のいらなくなった持ち物を売りに出す人もいます。いずれにしても売りに出す物には店主の個性が表れていて、眺めて歩くだけでも楽しいものです。

今回、私はプロらしい店主からデミタスカップとソーサ―のセットを2つ購入しました。カップの底には陶芸で有名なカンペール(Quimper)の窯元の名前が書いてあります。陶芸好きの方なら、さまざまな産地の名前を見つけては心躍らせることと思います。 

プロカント情報の見つけ方

 フランスのあちこちで開催されるブロカント。ところで、いつどこでという情報はどうやって集めるのでしょうか。

一つは毎年、地域ごとに編集、販売されるスケジュール冊子です。また、ブロカントや先ほどの地元のお祭り(foires à tout)、ガレージセールなどの情報を提供する専門のウェブサイトがいくつも開設されています。こちらは開催日に加えて場所の地図も瞬時に確認できるのでとても便利です。

さらに、もっとローカルな方法としては地元の商店に置かれたチラシや、電柱にくくりつけられた看板などもあります。よく見つけるのは信号のすぐ脇。赤信号で止まった車の中から見てもらうように、というわけです。

フランスの暮らしの美学が凝縮した場所

日々の暮らしこそ心豊かに、丁寧にそして快適に。ブロカントには、そんなフランスの人々の暮らしの美学、「アール・ド・ヴィーヴル」のエスプリがあふれています。自分の満足がいく品をいつくしみ、賢く家を快適な場所にする ― そんな生活術が見えてくる場所です。ブロカントを訪れるたびに、もっともっと日々の暮らしを楽しみたい、そんな気持ちが湧いてきます。

 

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 吉田裕美子

フランス・ノルマンディー地方の小さな町、ヴェルノン在住。フランスの人々の「楽しむ」精神に触発されて、日々料理すること、食べることに喜びを見出しています。最近、フランスの食まわりについてのブログ「マリアージュの国、フランスのおいしい食卓」を始めました。

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