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[フランス] 花と緑と印象派の村 Giverny ジヴェルニー

[フランス] 花と緑と印象派の村 Giverny ジヴェルニー

◯モネが愛した自然あふれる小さな村

 印象派画家の巨匠、モネが人生の後半を過ごした小さな村、ジヴェルニー。ノルマンディー地方の東端に位置するこの村は、すぐそばをセーヌ川が流れ、小高い丘陵には緑が生い茂り、いたるところで鳥のさえずりが響く自然ゆたかなところです。

 パリから日帰り旅行できる場所とあって年々訪れる人の数が増えていますが、その魅力は観光スポットに留まらず、その周りに広がる自然の中での散策もまた人気の秘密となっています。
 春から秋にかけての観光シーズンは季節ごとの花がところどころに咲き乱れ、ジヴェルニーが一年のうちで最も輝く時季となります。


◯パリから1時間で印象派の世界へ

 パリからジヴェルニーへ電車で訪れる場合は、サン・ラザール駅から出発します。印象派の聖地への旅が、モネの作品にも描かれたサン・ラザール駅から始まるのはとても象徴的です。
 
 電車により停車する駅の数が若干異なりますが、いずれも乗車時間は1時間弱。車窓にセーヌ川の穏やかな水面が広がってくれば、ほどなくしてヴェルノン・ジヴェルニー駅に到着です。

ここからジヴェルニーへ行く方法としてはシャトルバス、プチ・トレイン(汽車の形をしたオープン・エアのミニ観光バス)、タクシー、そして最近めきめき人気度を上げているレンタサイクルがあります。どの移動手段も、駅前から簡単にアクセスができ便利です。

■パリからジヴェルニーへの電車アクセス
SNCF サン・ラザール(Saint-Lazare)駅から長距離電車TERに乗り、ヴェルノン・ジヴェルニー(Vernon-Giverny)駅下車。ヴェルノン・ジヴェルニー駅まで直行の電車もある(所要時間48分)。基本運賃は片道一等席24€、二等席16€。
オンライン予約サイト

◯時間とお金を節約したいならシャトルバス


 ジヴェルニーへの移動手段の中で最も簡便なのがシャトルバスです。片道5€、往復10€で一日に6便運行。パリからの電車到着予定時間に合わせ出発時間が組まれています。運賃の支払いは乗車時に。現金かカードでの支払になります。

 シャトルバス乗り場へは駅から徒歩1分。線路を背に駅舎を右方向に出ると、すぐに道先案内の緑色の看板が目に入ります。駅舎からとても近いので、看板のある場所から乗り場が遠目に見えるほどです。
 
 バスの車体には大きく”VERNON > GIVERNY shuttle” と表記があり、またモネの庭園の絵が有名な太鼓橋とともに描かれているので、すぐにこれがシャトルバスだとわかります。
 ジヴェルニーまでの所要時間は約10分です。

■ヴェルノン・ジヴェルニー駅~ジヴェルニー 
シャトルバス時刻表サイトはこちらから


◯観光気分を満喫したいならプチ・トレイン


 シャトルバスと同じ値段ながら、ぐっと観光気分が盛り上がるのがプチ・トレインです。フランスでは観光地で必ずと言ってよいほど見かけるおなじみのアトラクションです。名前はトレインですが実際はタイヤがついた車で、ゆっくり進行しながら、車内に流れる音声ガイド(フランス語・英語)とともに外の景色を堪能できます。
 ヴェルノンとジヴェルニーの名前を足して「ジヴェルノン」と名前がついたこのプチ・トレインは、駅とモネの家を往復しながら、ヴェルノンの観光スポットも周遊できるのが魅力です。

 往路と復路とで経路が変わり、往路はノートルダム教会や16世紀に建てられたという水車小屋などを通ってモネの家に到着します。所要時間は約20分。復路はセーヌ川河畔、中世の塔跡などを25分ほどかけて巡った後、駅に戻るコースです。

 プチ・トレイン乗り場は駅舎を右に出てすぐ目の前。看板も出ているので、迷うことなく見つけることができます。
プチ・トレイン「ジヴェルノン」公式ウェブサイト

 
◯ただ今、人気急上昇中のレンタサイクル


 最近、目に見えて人気が高まっているのがレンタサイクルです。数年前にレンタサイクルショップが駅前にできてからじわじわと利用者が増え、今では自転車に乗った観光客を見ない日がないほどです。

 主なレンタサイクルショップは二つ。一つは駅舎を右に出て道を渡ったところにあるカフェ・バー「L'Arrivée de Giverny」が運営しています。もう一つは、同じ通りに並んだレンタサイクル専門店「GIVERNON RENTAL STATION」です。白く塗られたレンタサイクルが店内外にずらりと並んでいるので見逃すことはありません。


 レンタル料はどちらも一日10€。ジヴェルニーまではおよそ20分の道のりです。個人的には、時間に余裕があるならぜひレンタサイクルを利用して、ジヴェルニーの自然とゆったり流れる時間をあますことなく楽しんでいただきたいと思います。

 世界的に有名な自転車レース「ツール・ド・フランス」が開催されるなど自転車大国のフランス、自転車用の通路はきれいに舗装され、モネの家含め各観光スポットへの案内板も整備されているので快適なサイクリングが約束されています。
GIVERNON RENTAL STATION(レンタサイクルショップ)


◯自転車でのルートは二つ


 ヴェルノン・ジヴェルニー駅からジヴェルニーへのルートは二つあります。一つはセーヌ川沿いを走るルート、もう一つは森林に沿って走るルートです。どちらもまずはヴェルノンの市街地を抜け、セーヌ川に架かる大きな橋、クレマンソー橋(Le pont Clemenceau)を渡ります。

 橋を渡り切ったところにロータリーがあり、その一番右の道を進みます。セーヌ川沿いルートはそのまま案内板に従ってセーヌ川がある右方向へ。森林ルートは一番初めの角を左へ曲った後二つ目の角を右へ。 Voie André Touflet という名前の道を進みます。二つのルートとも、地元住民が散歩やサイクリングをのんびり楽しむ憩いの道になっています。

 ちなみに、先ほどのロータリーの右から三つ目の道を行くとほどなくして、プチ・トレインの周遊スポットでもある中世の水車小屋が現れます。

◯モネが描いたセーヌ河畔でひと休み


 セーヌ川沿いのルートでは、自転車を走らせながらすぐ間近にセーヌ川の流れを感じることができます。だから、目的地を目指してただひたすら自転車を漕ぐだけではもったいないというところ。ぜひ、道すがら自転車を降りてベンチや芝生に腰をかけ、悠然と流れるセーヌ川を眺めてみてください。

 また、途中左手に現れる牧草地には牛や馬が遊牧されていることもしばしば。何にも急き立てられることなく、のんびり草を食む姿を見ているだけでも心が癒されます。


◯緑と鳥のさえずりに包まれた道


 一方、森林ルートでは木々に囲まれた細い道を進みながら、自然と一体化する心地よさを感じることができます。時おり右手に開く視界の先には遠くセーヌ川が流れ、その手前には手を入れ過ぎない自然が広がっています。

 このルートにもところどころにベンチが設置されています。テーブル付きのものもあるので、鳥のさえずりを聞きながらピクニックというのもおすすめです。

◯ジヴェルニー観光の要はクロード・モネ通り


 端から端まで歩いて30分ほどのクロード・モネ通り。道端の両脇はさまざまな花に彩られ、思わず立ち止まって眺めたり、写真に収める人もたくさんいます。この通りを歩くことそのものが、ジヴェルニー観光の楽しみの一つなのです。

 ジヴェルニーの観光スポットは、すべてこの通りに集中しています。モネの家と庭園、その目と鼻の先にある印象派美術館、そしてモネが眠る墓地のあるサント・ラドゴンド教会といったモネにまつわる観光スポットのほか、ギャラリーやカフェなども揃っているので観光にとても便利です。



 また、印象派美術館前の駐車場敷地内には駐輪場、観光案内所や公衆トイレ(有料)も設置されています。そして密かに人気なのが同じ敷地内にほぼ常駐しているアイスクリーム・トラック。ホームメイドのアイスクリームを食べながら通りを散策してみてはいかがでしょう。

◯ジヴェルニーの代名詞、モネの家と庭園


 「ジヴェルニーに行く」と言えば、ほぼモネの家と庭園に行くという意味だと言えるほど、ジヴェルニー最大の観光スポットがこちらです。モネが43歳から86歳で亡くなるまで家族と暮らした家と庭園が公開されています。

 淡いピンク色の外壁と濃い緑色に塗られた窓枠や雨戸が印象的な家の中に入るとすぐ、モネの浮世絵コレクションが出迎えてくれます。圧巻なのはその点数。葛飾北斎や尾形光琳の作品など、200点以上に上るコレクションの数々にモネの日本文化への敬愛ぶりがうかがわれます。

 館内に残された内装は当時そのまま。作品の複製がたくさん飾られたアトリエ、窓から遠くに庭園が見渡せる寝室、レモンイエローの壁が明るく広々とした食堂など、館内を歩きながらモネの芸術と自然、そして家族を愛した暮らしぶりが想像できます。



 家の前には、モネ自身が設計したという花の庭「ル・クロ・ノルマン」が広がります。季節ごとに次々といろいろな花が咲き誇り、見事な色彩の饗宴を見せてくれます。整えられ過ぎず、あくまで周囲の自然と調和するよう手入れされた庭園に、庭師・モネの美意識を垣間見るようです。

 モネの作品で最も有名な「睡蓮」シリーズを生んだ蓮池を見るには、地下通路を渡ってもう一つの庭園である水の庭、「ル・ジャルダン・ドー」へ。
 庭園のシンボルマークにもなっている太鼓橋は、モネによる日本へのオマージュの表れです。園内には日本から送られたつつじなど低木の花も多く見られ、日本情緒とフランス的な美が同居した庭園になっています。

 蓮池の隣には竹林、そしてその下を小川が流れ、小川の向こうには時に牛も姿を見せる草原が隣接しています。そしてその間を隔てる壁はありません。あくまで、周囲の自然と同化した庭園なのです。


 敷地出口の手前にはガラス張りの大きなショップがあります。どんなに大きな美術館のショップにも負けないのではないかというくらい豊富な品揃えで、お土産探しに困ることはありません。

 訪問の際は、日時の入った事前予約を強くおすすめします。事前予約チケットがあれば、一般入場口よりも人通りが少ないグループ用入場口から入ることができるからです。事前予約がない場合は入場券購入のために1時間近く列に並ぶこともありますので、ご注意ください。また、一番人混みが少ない開園時間すぐの入場もおすすめです。
 なお、後述の印象派美術館内チケット販売所で印象派美術館とのペアチケットを購入することもできます。

クロード・モネ財団(モネの家と庭園)公式ウェブサイト
・開館期間(2022年):4/1~11/1
・開館時間:9時30分~18時(最終入場時間17時30分)
・入場料:大人…11€/7歳以上の子供及び学生…6.5€/6歳以下の子供…無料/障がい者…5.5€


◯印象派のエスプリが現代に息づく美術館


 さて、もう一つ訪れたいのが印象派美術館です。毎回、モネや印象派絵画に影響を受けたアーティストを中心とした企画展が好評で、現代作家の企画展も数多く開催されています。

 展覧会と合わせて鑑賞したいのが、美術館の建物入口前に横たわる庭園です(有料、2€)。モネの庭園に比べれば小ぶりにこそなりますが、背の高い植え込みで区切られた区画ごとに同じ色調の花だけが集められ、それぞれの色から受ける印象を楽しむことができます。植え込みが壁のようになって向こう側が覗けないようになっているので、次はどの色?と歩きながらわくわくします。

 また、スカーフやオリジナルトートバッグなど、おしゃれなファッション小物も揃うショップも見どころです。こちらは入館チケットが無くてもお買い物ができます。

ジヴェルニー印象派美術館公式ウェブサイト
・開館期間(2022年):3/18~2023 1/8
・開館時間:9時30分~18時(最終入場時間17時30分)
・展覧会予定(2022年):3/18~7/3「Monet/Rothko」展、7/14~10/2「Summer of a collection」展、10/14~20231 /8「Ange leccia. As Film goes by」展
・入場料:展示会により若干異なります。下記は「Monet/Rothko」展の場合です。
大人…企画展 9€、庭園入園料 2€(セット購入割引 10€)/学生及び障がい者…6€、庭園入園料 1€/17歳以下の子供…無料/11月第一日曜は無料
・ペアチケット(当館での購入のみ有効)
+モネの家と庭園とのペアチケット:大人…21€/学生…13.50€/7歳~18歳の子供…6.50€/6歳以下の子供…無料/障がい者…12.50€
+ヴェルノン美術館とのペアチケット:大人…12€

◯日常の喧騒を忘れて静かな散策はいかが


 ジヴェルニーを歩いていると、誰もがとてもリラックスした表情をしていることに気がつきます。花々を見ては顔をほころばせ、のんびりと歩を進めながら光や風を感じ、家族や友人たちとの会話を楽しんでいます。それはきっと、ジヴェルニーを包む牧歌的な雰囲気がなせるわざでしょう。
 パリの街歩きにつかれたら、少し足を伸ばしてモネが愛した自然を感じる小旅行はいかがですか。

 

《記事内に掲載されたスポットの住所》
・ヴェルノン・ジヴェルニー駅
Pl. de la Gare 27200 Vernon

・L'Arrivée de Giverny(レンタサイクルもあるレストラン)
1-3, place de la Gare 27200 Vernon

・レンタサイクル専門店「GIVERNON RENTAL STATION」
39-41 rue Emile Steiner 27200 VERNON

・クレマンソー橋
Pont Clemenceau, 27200 Vernon

・中世の水車小屋
8 Rue Pierre Bonnard, 27200 Vernon

・モネの家と庭園
84 Rue Claude Monet, 27620 Giverny

・ジヴェルニー印象派美術館
99 Rue Claude Monet, 27620 Giverny

・サント・ラドゴンド教会
53 / 55 Rue Claude Monet, 27620 Giverny

 

プロフィール

吉田裕美子
 フランス・ノルマンディー地方の小さな町、ヴェルノン在住。フランスの人々の「楽しむ」精神に触発されて、日々料理すること、食べることに喜びを見出しています。最近、フランスの食まわりについてのブログ「マリアージュの国、フランスのおいしい食卓」を始めました。

Web Site
マリアージュの国、フランスのおいしい食卓