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Stories #4 インドチャイ専門店モクシャチャイ 大久保 カプール 玲夫奈氏

Stories #4 インドチャイ専門店モクシャチャイ 大久保 カプール 玲夫奈氏

父がインド人、母が日本人の両親をもつ 大久保 カプール 玲夫奈氏のインタビュー。
毎朝、父が母の体調に合わせたチャイを作るのをみて、「チャイ」はやさしさと意識した。
 そんなやさしさに溢れたチャイを日本に広めたいと、モクシャチャイを立ち上げる。2021年4月からは本格的に店舗営業をスタートし、チャイの魅力を発信している。

スピーディーな国、インド

ーインドの魅力を教えてください。

インドは、エナジー、活気があります。まだ、未開拓なところのギャップも含めてパワーを感じました。2018年に1月に、ニューデリー近郊やインド北東部の紅茶農園に仕事を兼ねて、1週間くらい滞在しました。チャイに使う茶葉関係の方との商談で感じるのは、インドのビジネスは決断が早いということです。ビジネスにおいて、日本では一旦、検討し、時間をかけ、決断するということが多いですが、インドは、商談の参加者は、会社の代表との意識があり、非常にスピーディーです。インドビジネスでスピーディに決断をするということを学び、意識するようしています。
 また、0歳からインドはいろいろ回っています。ニューデリー、ゴア、ピンクシティと言われるジャイプール、その中で最も印象的なのがアグラにあるタージマハ ルですね。スケールの大きさに驚きました。

ーインドでの印象的な経験を教えてください。

子供のころ、インドでカルチャーショックを受けたこともあります。滞在中、車で移動している時、車窓からみえるジプシーの子供等の状況を見て、まさに衝撃を受けました。
 また、ある時、母と二人でリキシャ(自転車タクシー)に乗ったのですが、運転手が道を間違えて、全然知らないところに連れいかれたことがありました。母と私が途方にくれていると、近くのインドの人たちが見ず知らずの外国人である私たちにとても親切に、道案内をしてくれるんです。なんて優しい人たちだろうと感動しました。その社会の混沌とやさしさが混在したインドがとても印象的でしたね。

ゼロから作る経験が今に

ーイタリアに6年駐在されたそうですね。イタリアでの経験が現在のお仕事に与えている影響はありますか?

イタリア、トリノが拠点の日系機械メーカーで、現地法人の立ち上げをゼロから携わりました。日本での勤務では、給与は知らないうちに口座に入っているという印象でありました。大きな組織では、自分の働きがどれほどの価値があるかわかりにくいですね。
 しかし、イタリアでは、会社の立上げから参加しましたので、自分の給与を決めるという経験をしました。自分でビジネスの種をまいて、自分で刈り取る、その成果が自分の給与になることを実感しました。これは、自分の仕事の価値に真剣に向き合うきっかけになりました。
 また、海外生活は不便なんです。外国人なので当たり前ですが、特にヨーロッパは国ごとに言葉が異なり、伝えることが難しい。自分は外国人だと認識させられました。その外国人として、いい意味での苦労をしたことが、今に繋がっていますね。反面、日本ってすばらしいな、自分にとってなんでもできる国だとも感じ、日本の良さもよくわかりました。

インドとイタリアの意外な共通点、それが現在のビジネスの根底に。

ーなぜチャイをビジネスにと考えたのですか?。

インドではチャイは潤滑油的なもの、とりあえずチャイを飲んでから、スタートもチャイ、休憩時間もチャイ、インドでは日常に溶け込んでいる。
 イタリアにもエスプレッソの文化があります。これもまためちゃめちゃのむ。イタリアに行ったばかりのとき、とりあえずコーヒー飲もうぜという感じで、誘ってくれて、仕事やプライベートのことを話す。つまり、話すきっかけが、エスプレッソでした。
 ある時、ふと僕の中で、インドとイタリアがつながりました。そうだ、チャイもエスプレッソもきっかけだと。彼らは、そのきっかけの先にある特別な時間を本当に大切にしている。日本でもこのきっかけの文化をチャイ通じて作りたいと思いました。それをプロダクトにしてコミュニケーションの時間をお届けでしたいというのが、ビジネスを始めた理由の一つです。

スパイスとやさしさ溢れるチャイの関係。

ーチャイとスパイスの関係を教えてください。

チャイは、店ごとに違います、各家庭によっても違います。スパイスの組み合わせは無限大です。日本でいう味噌汁のようなものかもしれません。先日来店したインド人は、マハラジャ(インドの旧領主、偉大なる王の意味)のチャイを教えるといって、本来はアッサムですが、ダージリ ンをつかって、アーモンドを加える。つまり、本当に決まりはないんです。お茶を飲んで楽しむっていうことが基本です。
 また、以前、母は介護の仕事をしてまして、時間も不規則で、早いときは朝4時に家を出ることもありました。父はそんな母を気遣って、どんなに朝が早くても母よりも早く起床して、母の体調を気遣って、スパイスの配合を変えながら、例えば、風邪気味なら、生姜を少し多めにしてチャイを作っていました。私は、子供の時から、そういうチャイのやさしい風景を見て育ちました。
 つまり、一緒に時間を過ごす人たちへのおもいやりがスパイスとの関係かもしれません。

*店頭にはチャイ用の茶葉やスパイスなども購入できる。

チャイ作りはめんどくさい?

ー自宅でも簡単にチャイを楽しむ方法を教えてください。

よく言われるのが、チャイは、めんどくさい、わからないというということ。毎月ワークショップを開催していますが、毎回5分くらいで予約が埋まっちゃうくらい実は関心が高いです。チャイは作る工程が楽しいです。
 手軽に作る方法は、1杯分だと、水100cc、ミルク100cc、1対1の割合用意して、水を沸騰させ、そこにスパイスとブレンドされた紅茶(モクシャチャイで販売中)があれば、1杯分の3gを入れて、煮出してお砂糖いれたら完成なんです。
 時間に余裕がある時には、ミルで砕いたスパイスを使ってほしいです。香りが断然いい。スパイスの香りをいかに引き出すかが、おいしさのポイントですね。
*チャイの作り方は、9th Portレシピでも公開中

インドの労働環境改善の取り組みを通じて、もっといいお茶を日本に。

ー今後の活動について教えてください。

インドとの関わりに意義を見出して活動していきたい。まずは、日本のお客様に喜んで頂くサービスを提供していく。その 上で、茶葉を提供してくれるインド農家の労働環境を改善していきたい。気持ちよく働いてもらえれば、少しずつかもしれないが、もっといい品質のものを作ってもらえるようになり、全て繋っていくと感じています。

 以前、インドで、労働環境改善について直接、要望を聞ききました。するとトイレの建設だったのです。費用はおもったより高くなかったので、活動を始めました。現在はコロナ禍で、ワクチン接種支援に一時的に変更していますが、本来の労働環境の改善活動を今後も続けていきます。その活動が結果的にいいお茶作りに繋がり、結果として日本のお客様が喜んでもらえれば、まさにウィンウィンだなと考えています。

 チャイ文化をを広げるという事業を始めたことで、少しでも何かを変えたい。小さい規模でも、やった意義を残したい。常に根底では考えています。

 

大久保 カプール 玲夫奈氏

1981年生まれ。日印ハーフ。日本の大学を卒業後、一部上場の日系産業機械メーカーに入社。イタリアに6年間駐在し、現地法人立ち上げや、欧州市場開拓に従事。帰国後、 Moksha Chai を立ち上げる。2019年10月中目黒にチャイ専門店 Cafeモクシャチャイ中目黒をオープン。2021年4月にリニューアルオープン。趣味は海外旅行。これまでに30カ国150都市をまわる。チャイ研究家。玲夫奈の名前は「日本の宇宙開発の・ロケット開発の父」、糸川英夫氏が名付け親。

今回の取材先

本格的チャイが楽しめる店舗
住所:東京都目黒区東山1-3-6 クレール東山 2F
営業時間:11:00-18:30
定休日:月曜 火曜
モクシャチャイWeb Site:https://mokshajapan.jp/